フランスで20世紀初頭頃に制作されたブロンズ製の装飾豊かなヴェイユーズ(常夜灯)。
常夜灯は光量の強くない豆電球などを用いた間接照明のことで、玄関や応接間に置いて夜間を通して点灯させて使用します。
ロストワックス鋳造で製造された本体は、アニミズム(自然崇拝)を彷彿とさせるグロテスク様式(キリスト教以前のローマ帝国時代に作られた美術品に触発され誕生した、ルネサンス美術様式の一種)で象られており、獣頭・精霊・悪魔などの異教的モチーフが随所に採用されています。
香蒲(がま)、石榴(ざくろ)、葉薊(アカンサス)、睡蓮(すいれん)の植物意匠と、貝殻(帆立貝、巻貝、宝貝)で構成され、躍動的でおどろおどろしいデザインが秀逸。
15世紀以後のローマン・リバイバルに端を発するグロテスクと19世紀を通して発展したアールヌーボーの2スタイルが見事に混じり合ったお品物です。