ヴィクトリア朝時代の御婦人方を描いた銅版画。
英国の週刊新聞で、1871年5月13日刊行の「ザ・グラフィック」の一部を切り抜いて額装したアートフレームです。
「ザ・グラフィック(The Graphic)は世界最初の挿絵付き週刊新聞として知られる「ザ・イラストレイテッド・ロンドン・ニュース」の成功を受け、その対抗馬的立ち位置で創始されたイギリスの挿絵付き週刊新聞で、初版は1869年刊行。
スポーツに興じているシーンを切り取ったこちらの作品、タイトルは「バトルドア・アンド・シャトルコック(Battledoor and Shuttlecock※)」。
絵の題名がそのまま描かれた女性たちが興じている競技を指しています。
ヴィクトリア朝はイギリス大衆文化が花開いた時代。女性のファッションも三者三様。
原画を手掛けたのは19世紀~20世紀初頭に活躍したイギリスの女性画家ヘレン・パターソン(旧姓。後に結婚しヘレン・アリンガムとなる。1848-1926)。
20代のころ、パターソン女史は学業の傍ら挿絵画家として「ザ・グラフィック」紙に作品を提供しており、こちらもそのうちの一つと思われます。
また、イラストレイテッド・ニュースペーパー社(ザ・グラフィックの版元)は後年この作品の版権を手放したか販売したかしたようで、何年後かにアメリカで出版された週刊新聞に、この作品が流用されていることを確認できます。
裏面はバトルドア・アンド・シャトルコックについて詠った詩(作者はイギリスの詩人アルフレッド・グレーヴス/Alfred Perceval Graves:1846-1931)に始まる、イギリスの庭園や名勝についての抄録記事や小旅行に関する読み物が掲載されています。